Fall of helicopter


毎日新聞 2010年9月27日 西部朝刊 より抜粋

◆最近の主なヘリコプター事故◆

2004年 2月 三重県磯部町(当時)で訓練中の陸自ヘリ2機が衝突、2人死亡

      3月 長野県南木曽町で取材中のヘリが墜落、4人死亡

     12月 佐賀県・有明海沖で民間ヘリが墜落、3人死亡

  05年 5月 静岡市で渋滞調査中の県警ヘリが墜落、5人死亡

  07年 3月 鹿児島県・徳之島で患者搬送中の陸自ヘリが墜落、4人死亡

     10月 堺市で体験飛行中の民間ヘリが墜落、2人死亡

  08年 7月 青森県大間町で取材中のヘリが墜落、4人死亡

  09年 9月 岐阜県高山市で救助活動中の県防災ヘリが墜落、3人死亡

  10年 7月 埼玉県秩父市で救助活動中の県防災ヘリが墜落、5人死亡

      8月 香川県沖の瀬戸内海でデモ飛行中の海保ヘリが墜落、4人死亡


埼玉県の防災ヘリが山岳救助中に墜落 5人死亡、2人無事

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ブドウ沢に墜落した埼玉県の防災ヘリ「あらかわ1」と救出活動を行う救助隊員ら=埼玉県秩父市で2010年7月25日午後1時26分、本社ヘリから尾籠章裕撮影
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H22.7 25日午前11時ごろ、埼玉県秩父市大滝の奥秩父山系ブドウ沢で、7人が搭乗した同県防災ヘリコプター「あらかわ1」が、滝つぼに転落した女性を救助中に墜落した。パイロットとレスキュー隊員、消防隊員の計5人が死亡し、残る2人は無事だった。国土交通省運輸安全委員会は調査官3人を現地に派遣、事故原因の究明を始めた。女性も病院で死亡が確認された。

 ◇生存隊員「直前、プロペラ異音」

 防災ヘリは、県が「本田航空」(埼玉県川島町)に運航を委託。パイロット2人と県防災航空センター防災航空隊員(レスキュー隊員)3人、秩父消防本部の消防隊員2人の計7人が乗っていた。

 死亡したのは▽機長、松本章さん(54)=埼玉県桶川市▽副機長、西川真一さん(32)=同▽レスキュー隊員、中込良昌さん(42)=同県狭山市▽同、戸張憲一さん(32)=同県鳩ケ谷市▽消防隊員、大沢敦さん(33)=秩父市――の5人。レスキュー隊員の太田栄さん(36)=同県川口市=と消防隊員の木村準さん(38)=秩父市=に大きなけがはなかった。女性救助のため、既にヘリから降下していた。

 県警秩父署によると、遭難した女性は、東京都勤労者山岳連盟の「沢ネットワーク」メンバー、小野千枝子さん(55)=川崎市=で、24日午後、仲間8人と沢登りをしていて滝つぼに転落した。携帯電話が通じず、仲間が25日午前8時半に110番し、あらかわ1は同9時40分ごろ、埼玉県中部にある県防災航空センター(川島町)を離陸し救助に向かった。小野さんを沢からつり上げるため、ホバリングをしていて墜落したらしい。現場に向かっていた県警ヘリが、先着した「あらかわ1」のものとみられる煙を発見、墜落を確認した。

 現場は埼玉と山梨県境にある笠取山(1953メートル)の北約1キロの「ブドウ沢」。気象庁によるとヘリが墜落する前の午前10時40分ごろ、秩父地方に大雨、洪水、雷注意報が出た。熊谷地方気象台の観測では墜落後の同11時半ごろ急速に雨雲が発達。担当者は「大気が不安定な状態だった」という。県消防防災課によると、あらかわ1は今月12〜14日に100時間点検をしたばかり。

 同課は26日午前0時20分、秩父消防本部で会見。無事だった隊員の話として、墜落直前にヘリのプロペラから「バタバタ」という異音がし、機体が傾いたと明らかにした。機体は沢の斜面にぶつかった後、落下したという。隊員の話によると、ヘリは現場の上空約30メートルでホバリングしながら隊員2人をワイヤで降ろす作業を始めた。隊員が地上まで約1メートルに達した時、ワイヤが急激に降下。同時にプロペラから異音が聞こえ、隊員が上空を見上げると機体が傾き始めていたという。天候は晴れで風も弱かった。【佐藤丈一、町田結子、岡崎博、大谷津統一】

 2010年7月25日


海保ヘリ墜落:4人死亡、1人を捜索 送電線に接触か

香川県多度津町沖で墜落した第6管区海上保安本部のヘリコプター「あきづる」=海上保安庁提供
香川県多度津町沖で墜落した第6管区海上保安本部のヘリコプター「あきづる」=海上保安庁提供

 第6管区海上保安本部によると、H22.8 18日午後3時10分ごろ、香川県多度津町の佐柳島(さなぎじま)沖約460メートルの瀬戸内海に同本部広島航空基地のヘリコプター「あきづる」が墜落した。5人が乗ってパトロール中、佐柳島と約700メートル東の小島(おじま)とを結ぶ海上の送電線に接触したらしい。海保の潜水士が同日夕、墜落現場付近の水深10メートルの海中で機体の一部を発見し、中から4人を搬出したが、病院で死亡が確認された。もう1人については、捜索を続ける。

 死亡が確認されたのは、機長、藤本雅士(まさひと)飛行士(41)▽副機長、高橋仁(ひとし)飛行士(38)▽岡本保信整備士(39)▽松井光男通信長(55)−−の4人。行方不明は大嶽智(おおだけさとし)主任整備士(56)。

 同本部によると、ヘリはベル式412型の中型機。同日午後1時45分ごろ、広島航空基地(広島県三原市、広島空港内)を同基地所属の5人で出発し、約2時間半の予定で海上での油漏れや不審船舶などをパトロールしていた。視界は良かったという。

 佐柳島の港にいた女性(62)によると、低空飛行の音が気になって振り向くと、港付近の送電線のすぐ上でヘリが前部を斜め上に向けて上昇しようとしていた。しかし、突然、逆さまにひっくり返ってプロペラ部分が下になり、後部から煙が上がってドスンと海中に落ちたという。

 四国電力によると、佐柳島(93世帯128人在住)と小島(無人)の間の海上に架かる送電線(高圧線3本)が同時刻ころに断線し、周辺5島で約2時間停電した。目撃情報もあり、6管はヘリの接触が原因とみている。送電線は長さ1179メートル、海面から高さ最高105メートルの位置にあり、電圧は6000ボルト。両端の鉄塔には、昼間も航空障害灯が点滅している。

 現地の高見漁協によると、捜索に協力するため同日夕、漁船10隻が出動した。佐柳島付近の海上にヘリの機体の一部が浮いており、尾翼とみられる部分を回収したという。操縦席部分などは海中に沈んでいる模様だ。

 国土交通省運輸安全委員会は同日、航空事故調査官を現地に派遣した。【吉田卓矢、寺岡俊】

毎日新聞 2010年8月18日 18時35分(最終更新 8月19日 0時01分)


航空事故:鹿児島・屋久島でヘリ墜落、2人死亡 資材空輸中、杉に接触か

H22.9 26日午前7時50分ごろ、鹿児島県の屋久島で、朝日航洋(東京都豊島区)が運航する資材運搬用ヘリが墜落。操縦士の谷川泰久さん(47)=奈良県三郷町=と、整備士の三宅正治さん(38)=埼玉県富士見市羽沢=が病院に運ばれたが、正午過ぎに死亡した。運輸安全委員会は調査官3人を現地に派遣し、27日から事故原因を調べる。

 鹿児島県警などによると、2人が倒れていた現場は樹齢約3000年の屋久杉「紀元杉」から南に約50メートル入った地点で、世界遺産区域の近く。機体は、紀元杉から約100メートル離れた幹回り約5メートルの杉の木の周辺に散乱していた。上方の枝が一緒に機体と落ち、表面が一部焦げていたことなどから、機体はこの杉と接触したとみられている。尾翼は残っていたが、前方部分は大破していた。

 ヘリは、紀元杉の近くにある淀川歩道橋の基礎部分が5月の大雨で流されたため、補強工事用資材や機材の運搬目的でチャーターされていた。

 朝日航洋などによると、墜落したのはユーロコプター社製のAS332L型機で86年製造。通算飛行時間は1万800時間に及ぶが、8月に定期点検を終え、機体に問題はなかったという。

 定員は乗員含め22人程度で、約3トンの貨物をつり下げる能力があり、7月に埼玉県秩父市で県防災ヘリが墜落し5人が死亡した際に、事故機の回収に当たっていた。谷川さんは総飛行時間6933時間のベテランだった。

 26日は午前6時42分に谷川さんから作業開始の連絡があり、石材を積んでヘリポートと約3・5キロ離れた荷降ろし場を往復していた。墜落前に「霧がひどくて資材を降ろせない」と地上の朝日航洋社員に無線で連絡があり、引き返した直後に墜落したという。

 鹿児島航空測候所によると、墜落時に屋久島空港では1メートル前後の風があったが、雲はほとんどなかった。しかし、現場付近は天候が変わりやすいことで知られているという。【川島紘一、黒澤敬太郎、池田知広】

 ◇深い森に霧、救助に時間

 世界遺産の島・屋久島で起きた資材運搬用ヘリの墜落事故は、うっそうとした森が広がり、霧が立ちこめる中で起きた。救助作業は難航し、救助隊員らは「もう少し早く病院に運べていれば」と無念さを隠せなかった。

 救出に向かった熊毛地区消防組合屋久島南分遣所によると、事故の一報が入ったのは午前8時40分。すぐに場所を特定できず、現場到着は約1時間40分後になった。

 現場付近に道はなく、救急隊員らは枝を払いながら斜面をはい上がった。現場では谷川さんがあおむけに、三宅さんは谷川さんから約15メートル離れた地点にうつぶせに倒れていた。到着時、三宅さんは心肺停止状態で、谷川さんは左脚がほぼ切断され、意識が薄らいでいた。樹木が邪魔でヘリによる引き上げができず、地上を運ぶことになり、意識のある谷川さんを先に担架に固定。救急車まで約30分かけて運んだ。

 隊長は「ヘリで搬送できればよかったが、無理だった。できるだけ急いだが、間に合わなかった」と悔やみ、2人の死を悼んだ。


陸自:八尾駐屯地でヘリ墜落 隊員1人重傷 大阪

墜落した陸上自衛隊のヘリコプター=大阪府八尾市の陸上自衛隊八尾駐屯地で2010年10月3日午前9時39分、本社ヘリから小松雄介撮影
墜落した陸上自衛隊のヘリコプター=大阪府八尾市の陸上自衛隊八尾駐屯地で2010年10月3日午前9時39分、本社ヘリから小松雄介撮影

H22.10 3日午前8時50分ごろ、大阪府八尾市の八尾空港に隣接する陸上自衛隊八尾駐屯地で、定期整備の結果を確認するための試験飛行をしていた輸送用ヘリ「UH−1H」型機が高度約10メートルから墜落、横転した。乗員の男性隊員4人のうち、副操縦士の3等陸尉(28)が頭を強く打って重傷を負い、3人が手足などに軽傷を負った。墜落現場から約500メートル南東の西弓削(にしゆげ)公園で、ヘリコプターの金属製の部品(3.2キロ)が落ちているのが見つかった。陸自は事故調査委員会を設置した。

 他の乗員は機長の2等陸尉(30)、整備員の31歳と25歳の3等陸曹。陸自は氏名を公表していない。八尾駐屯地によると、午前8時半ごろ、空港北東部にある格納庫付近でエンジンを始動した。午前8時43分に垂直上昇、西約200メートルの離着陸場所に水平移動し、ホバリング試験中に突然芝生に墜落、右側面で接地し、大破した。

 飛散したのはプロペラを固定する「ブレードウエート」と呼ばれる部品で長さ約40センチ。事故の衝撃で飛んだとみられている。住民からの通報で見つかった。陸自では他にも部品が残っている可能性があるとみて4日も付近を捜索する方針。

 事故機は中部方面航空隊に所属している。9月29日から飛行50時間ごとに行う定期整備をしていた。中部方面航空隊長の関口勝則1等陸佐は「大変なご迷惑をおかけして申し訳ない。原因究明に努める」とコメントした。

 駐屯地は住宅街に近接しており、現場は最も近い民家から約200メートル。ブレードウエートが落ちていた公園にはグラウンドなどがあり、付近には民家や工場があるが、これによるけが人などはなかった模様。陸自は正午ごろに部品を回収したが、この事実を公表したのは約12時間後。公表遅れについて陸自は、「事故機の部品であると確認するのに時間がかかった」としている。

 近くに住む男性(73)は、空港に隣接する畑で農作業をしていた際に事故を目撃した。「(ヘリコプターは)大きな音を立てて前のめりで落ちた。プロペラの音が止まり、すぐにごう音がした。乗っていた人たちはすぐに外に逃げ出した」と証言する。別の男性(75)も「機体の後部から部品が落ち、数秒後に回転しながら落ちた。部品が自分に当たっていたらと思うと怖い」とおびえていた。【花牟礼紀仁、酒井雅浩、林田七恵】

毎日新聞 2010年10月3日 10時28分(最終更新 10月4日 13時52分)