朝鮮総聯の大罪

金昌烈 著 定価680円+税


朝鮮総連の暴力部隊・ふくろう部隊の人間狩り P100

1960年代後半、金?植副議長が韓徳銖議長の後継者の最有力候補として、朝鮮総連の実権を握っていた。
その横暴な振る舞いを批判する反主流波に制裁を加え、
粛清するために、金?植が創設したのが、俗に「ふくろう部隊」と呼ばれる組織。

「ふくろう部隊」は主に朝春(在日本朝鮮青年同盟)や留学同(在日本朝鮮留学生同盟)から人材を集めて組織された。

「ふくろう部隊」はエリート部隊で、特別に選ばれた人間だということでおだてられる。

「ふくろう部隊」は金?植直属の私兵みたいなもの。その主な役目は「宗派(反主流派、異端)狩り」と称する人間狩り
「ふくろう部隊」のメンバーは普段はそれぞれの職場にいて、普通に働いている。 しかし、いったん命令が下ると、緊急招集に従って、最優先で指定の場所に
馳せ参じる。

「ふくろう部隊」には、文字通り夜行性の「ふくろう」として、昼間は工場で働いていて、夜だけ活動する。しかし、そうではなく、昼夜を分かたずに二十四時間働くものもいる。秘密工作の七つ道具を入れたカバンを手にして集合場所に行くと、責任者がいて、その指示に従う。これが活動の基本パターン。いつお呼びが来るか分からないから、ふくろう部隊のメンバーはそのカバンをいつも手元に置いている。
中国には紅衛兵があったし、北朝鮮にもいろいろな工作のノウハウがあって、「ふくろう部隊」はそれらを真似て活動していた。
「ふくろう部隊」の青年たちはこれを崇高な使命と信じて、その活動に全力を注いだ。

「ふくろう部隊」は、尾行などで得た情報を標的が所属する各職場などの学習組で自ら直接報告することはない。こうした情報は自分を直接統括する上部組織にだけ報告する。P101

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「ふくろう部隊」は尾行・監視など、盗聴、脅迫、暴行などの犯罪まで行って、金?植に敵対する総聯活動家を潰していった。殺人に手を染める場合もあったとも言われる。

ふくろう部隊の基本的なやり方は、朝からずっと、ひたすら相手をつけまわし、監視するというもの。相手が喫茶店に行っている時などは、近くの席に陣取ってこれみよがしに、挙手、投足を監視する。これで相手は相当に神経がまいる。

 そして、尾行・監視の結果、今日はあいつはどこへ行って何をしたなどと、細大もらさず上部組織に報告する。その中で問題にできそうな材料があると、相手の職場の学習組に裏から手をまわして、「総括」の際の攻撃のターゲットにする。つまり、「いじめ」の標的にさせるのだ。具体的に総聯中央の担当セクションから、叩きたい相手のいる職場の学習組の責任者に誰それをこのように攻撃しろと伝える。責任者はこれに従って、議論を誘導し、標的にされた人物を精神的にまいるまで痛めつける。「泣までやる」というが一つの基準になる。

 何も問題が見つからない時はでっち上げてでも、罪を作り上げてゆく。この時相手の本当の日常生活について熱知していることが生きている。相手が自分の「罪」を否定しても、まわりは信じてくれない。これを「組織思想事業」と言う。まさに現代の魔女狩り

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これによって、除名されたり、中央本部から地方の傘下団体や事業体に左遷きれることもある。しかも、それで攻撃が終わるならいいが、そうはならない例が多い。

 ふくろう部隊の活動は単なる尾行・監視にとどまらない。かって「ふくろう部隊」に、自転車のタイヤをキリで突かれたり、カミソリで切り裂かれたりしたことが何度もあったという人が大勢いる。無言電話や脅迫状も「ふくろう部隊」の常套手段の」一つだ。こうした嫌がらせの結果、精神病になるなどというのは普通で、心身をおかしくして失明や半身不髄になった人もいる。一番ひどい場合には、本当に何の問題もないのに、ひたすらつけまわされ、ノイローゼの末に衰弱死してしまった。こうしたことは在日朝鮮人の間では一部でよく知られている。

「ふくろう部隊」の攻撃にはこうすれば許してくれるという対応策はない。極端な話、死ぬか、金?植の都合で中止されるまで攻撃が続く。「ふくろう部隊」を殺人部隊暗殺部隊と呼ぶ人もいるが、こうした点から見れば、ふくろう部隊にとって「殺人」はけっして特別なことではないと言えよう。

 しかも、昨日まで攻撃する立場だったのが、ある日突然一転して攻撃される側になることもある。きっかけは大体些細なことで、これといった.理由はない場合も珍しくない。

自分が「ふくろう部隊」であることは家族にも言ってはならない秘密とされていたが、多くの家族では秘密は厳しく守られてはいなかった。 こうした犯罪集団であるにもかかわらず、60年代から70年代にかけては、たいていの家族はそのことを心配しなかった。むしろ「お国(北朝鮮)のため」だと、誇りに思い、周囲に自慢しているふしがあった。
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しかし、こういう気持ちが強かったからこそ、金正日が拉致を認め、北朝鮮が朝鮮民族の「名誉」を汚す行為をしていたと知り、それをきっかけにしていま、裏切られたリアクションとして総連組織から離れる人が大勢でてきている。


序章 消えたソナム荘―朝鮮総聯の闇
第1章 朝鮮総聯―その知られざる権力闘争の歴史
第2章 「学習組」と「ふくろう部隊」
第3章 朝鮮総聯拉致工作員
第4章 北朝鮮への送金工作
第5章 朝鮮総聯の原罪北朝鮮「帰国」運動
第6章 反日「民族教育」と朝鮮学校
資料

[要旨]
拉致問題、核兵器開発、ドル・円偽造など北朝鮮にかかわる問題は深刻だ。その“大使館”ともいうべき朝鮮総聯が担ってきた役割とはなんだったのか。金日成・金正日親子と総聯幹部、そして日本共産党、社会党、自民党の一部議員たちとの血塗られた関わり、北朝鮮隷属を固めていったその偽りの戦後史をいま、白日のもとにさらす。さらに緊張を増す日朝関係にあってその役割を明らかにした問題作。