五感情報通信技術に関する調査研究会(第6回) 議事要旨

1.        時:平成13年6月5日(火)14:00〜16:00
2.
        所:総務省8階 第1特別会議室
3.
        出席者(順不同、敬称略)

座長 廣瀬(東京大)

構成員
阿部(東京大)、
片桐(ATR)、
小宮(インタラクティブコミュニケーションズ)、
澤野(高砂香料)、
土井(東芝)、
鳥居(味の素)、
池井(都立科技大)、
中山(CRL)、
西条(富山医科薬科大)、
平原(NTT)、
広田(東京大)、
安田(代理 青木氏 東京大)

事務局
田中技術総括審議官
松井技術政策課長、
島田課長補佐、
福本係長、
小川、
帆足(技術政策課)

4配布資料
資料6−1 五感情報技術に関する調査研究会(第5回会合)議事要旨(案)
資料6−2 報告書(案)概要(第1章〜第2章分)
資料6−3 報告書(案)(第1章〜第2章分)
資料6−4 五感情報通信の実現イメージ
資料6−5 五感情報通信技術の研究開発体制について(案)
資料6−6 五感情報通信技術の技術開発ロードマップ(案)
資料6−7 五感情報通信技術の研究開発プロジェクト(案)
資料6−8 今後のスケジュールについて

5議事の概要
(1)  開会
(2)  議事

第5回会合の議事要旨の確認
事務局より資料6−1に基づき説明。コメントがあれば事務局まで連絡することとした。

報告書(案)について
事務局および執筆担当者から内容につき簡単に説明。


【主な質疑応答】
平原構成員:第1章歴史の聴覚について、資料に基づき見直しをお願いしたい。

鳥居構成員:各専門家がもう一度目を通した方がよい。

事務局:歴史の部分については、それぞれの感覚の先生方に加筆・修正をお願いしたい。

廣瀬座長:1章の終わりの部分を「・・・・人間の日常的な知覚体験を・・・・」と締めくくっているが、もう少し非日常があってもよいのではないか。

土井構成員:ことばだけでは100%の情報を伝えることはできないということを示した認知心理の資料があるので参考にしてほしい。

鳥居構成員:1章の「五感とは」の部分で、この研究会で扱う五感の定義をきちんと定義する必要がある。五感以外のその他の感覚を含めた情報を五感と定義し、その代表例として5つの感覚を取り上げるという記述が必要である。その他の感覚の研究が進まないと全体として埋まらない部分が出てきて、社会的ニーズを満たしているとは言えなくなってしまう。シンプルなモダリティだけでなく総合的なモダリティも含めておかないと自然な状態にはならない。

廣瀬座長:人間の持つモダリティ全部ということで五感という言葉を捕らえる必要がある。これを象徴的に示すものとして五感という言葉を使うということにする

片桐構成員:各章ともに分析的な視点で記述がなされているが、相互作用に向かう部分の記述が不足しているのではないか。もう少し高次な部分のサーベイも入れるとシステム的な応用につなげやすいのではないか。

廣瀬座長:聴覚の部分についても視覚との感覚相互間の研究があるのではないか。

平原構成員:たくさんあって書ききれないので今回は入れていない。

廣瀬座長:聴覚以外の感覚についても網羅的である必要はないので、エピソディックに感覚相互間の研究に触れておく必要があるのではないか。

廣瀬座長:視覚については、イメージセンシングで3次元同時にとれてしまうという例があるのではないか。また、ディスプレイについてはHMD(Head Mount Display)の例もある。ホログラフィもある。

土井構成員:触覚一致(手元に映像を持ってくる)のディスプレイについても触れてほしい

廣瀬座長:視覚・聴覚については個別の技術は十分あるので、他の感覚との相互作用の部分についても触れてほしい。

鳥居構成員:ディスプレイ技術は通信にならないのではないか。リアリティは出てくるが、脳での判断は入らない。工学的進歩のみで、脳での判断が含まれていないのではないか。

廣瀬座長:システム側で価値判断を入れるのか、システム側はトランスペアレントにしてしまうのかといった点については、やり方が何種類かある。

鳥居構成員:視覚の部分に、脳の持っている視覚の特徴、生体のもっている特徴をどの程度生かしているのかといった点を記述してほしい。

廣瀬座長:視覚・聴覚に関しては限りなくトランスペアレントなほうが良いとされている。

平原構成員:視覚・聴覚に関して3次元的な場を送るという意味ではできていない。

廣瀬座長:味覚・嗅覚でトランスペアレントなものはできるのか。

土井構成員:人間の注意が向いたところだけ抽出してそこだけ繊細に送るなどまだやらなければいけないことはたくさんある。情報をいったんアーカイブして個人が思ったとおりに再現するといったところはまだできていない。

廣瀬座長:五感情報通信技術としてどこにメインストリームを置くかによって捕らえ方が違ってくるのではないか。これまでの意見を反映して、報告書に対する加筆・修正をお願いしたい。

実現イメージにについて
事務局より、資料6−4に基づき実現イメージについて報告及び説明。

 
【主な質疑応答】
廣瀬座長:コピー通信は大量の情報をトランスペアレントして、遠隔地にいるような臨場感を再現するといったもの。

平原構成員:
相互作用通信は時間の経過および個人によって変わってくるので、結果的にうまくいかないのではないか。「意味の指定」も人によって大きく異なるので、意味がないのではないか。

廣瀬座長:体験を完璧に記録できていたとしても受ける側が変わってしまった場合はうまくいかない。

平原構成員:解釈した上で意味付けしてデータベースに蓄積するという部分も難しい。

廣瀬座長:相互作用通信では感覚のswitchingとデータベースの2つのことを同時に言っているのではないか。

土井構成員:相互作用通信はデータベースに入れるときに解釈する必要はない。構造化してあればよいのではないか。解釈すると情報が抜け落ちる可能性がある。

廣瀬座長:構造化の必要もない。すべて蓄積すればよい。解釈はシュミレート通信ではないか。コピー通信は忠実な再現であり、この過程で相互作用によりswitchingさせるという意味でいうと、相互作用通信は限りなくコピー通信に近いのではないか。

平原構成員:相互作用通信でのモダリティ間での変換はコピー通信にはない。

廣瀬座長:感覚器からの情報を解釈するということになるとシュミレート通信に近くなる。

西条構成員:福祉の面では最初に解釈した上での意味付けが必要となる。

平原構成員:情報はそのままで人間の方が変わっていくというモダリティの組み合わせが存在するはずである。

廣瀬座長:技術として意味論まで踏み込むというものと1対1のトランスペアレントなswitchingのみにとどめるという2つの考え方がある。コントロール通信と相互作用通信は明白に考え方が違う。コピー通信は基本的な五感通信。シュミレート通信はどこかに吸収させてもよいのではないか。通信に意味論を含めるものとswitchingのみのもので分類する方法もあるかもしれない。

片桐構成員:コントロール通信には価値判断が必要である。まったくのローデータでは統合、トランスファはできない。完全にトランスペアレントのものと、認知的判断を伴うものでカテゴライズできるものではなく、中間レベルが重要である。

廣瀬座長:実現イメージの分類が必要となるので、特徴的なものとして何を選ぶかという議論になるのではないか。

片桐構成員:相互作用通信が認知的なものである必要はないのではないか。

廣瀬座長:相互作用通信はswitchingと捕らえている。「相互作用を解釈した上での意味付け」の部分はは取ってしまったほうがよい。

土井構成員:4つの関係を示す軸が必要なのではないか。軸としては、1つはトランスペアレントとデジタイズ、もう1つは時間軸でメモリアシストするもの(蓄積系が絡む場合とリアルタイムな場合)がある。1〜3には味覚、嗅覚、触覚が抜けており五感における特徴的な軸が足りない。

廣瀬座長:現在の分類は、直行基底になっていない

土井構成員:脳の部分の軸を取り入れてみる必要がある。

廣瀬座長:時間軸、意味論、などを軸として、4つのイメージを直行基底型に整理して分類をスリム化してみる必要がある。
小宮構成員:分類だけでなく、緩やかなくくりがほしい。NetMeetingなど様々な手法を切り替えて使うコミュニケーションがある。

廣瀬座長:座標軸はこれで十分か。時間軸、意味論を含むかなど。

事務局:この件については事務局でとりまとめ、メーリングリストでご意見をいただくこととしたい

鳥居構成員:五感情報通信は、経験を積み重ねることにより個人にとって賢くなっていく部分がなくてはならない。柔軟な要望に対して賢くなっていくシステムがあると、相互作用ができあがってくる。

廣瀬座長:賢くなるのは機械か人間か。2つの方向がある

鳥居構成員:現状の情報処理装置の考え方とは切り離し、脳の学習機能にあたる部分の存在が必要なのではないか。

廣瀬座長:ある1つの視点から情報を蓄積する方法と、すべてを記録してその中から必要な部分を抽出する方法の2つの方法がある。

土井構成員:味覚は調味料を通じて、ユーザが試行錯誤できるが、視覚・聴覚は試行錯誤できない形になっている。これができるような仕組みが作れればよいのではないか。

阿部構成員:味覚を研究の対象に含めたという点が重要である。視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚の5つの間における相互作用の視点がもっとも新しいのではないか。個々の感覚が複数重なり合って何が起こるかということについて五感すべてを含めて研究するということの意義が大きいのではないか。エステ─ティックス(esthetics)という新しい科学にもつながる。

廣瀬座長:感覚多重度軸が必要である。相互作用通信をショウアップする。


研究開発体制、技術開発ロードマップ、研究開発プロジェクトについて
事務局より、資料6−5〜資料6−7に基づき下記の項目について報告及び説明。
    ・研究推進体制
    ・技術開発ロードマップ
    ・研究開発プロジェクト

【主な質疑応答】
廣瀬座長:感覚を高次に解釈し、意味論を抽出する五感ロボット的プロジェクトがない。項目をつくっておくのがよいのではないか。

廣瀬座長:感じている側の記録を現在はとっていない。これを含めて再現するのは難しいが、五感ミュージアムのようなものでは必要になってくるのではないか。技術的な話と解釈の話の中間的なものになる。

池田座長代理:ロードマップで抜けている部分があるのはどうしてか。

島田課長代理:構成員へのアンケートを基に作製しており、抜けている部分を追加していただければありがたい。

西条構成員:ロードマップの記述について、「脳への刺激」を「脳への直接アクセス」、「ヒトの脳機能解明」を「ヒトの脳の高次機能の解明」に変えたほうがよい。また、嗅覚において原臭という概念はなくなりつつある。

鳥居構成員:原臭・原味等諸感覚の基本要素の解明は基本要素の解明に変える。

阿部構成員:人間は、においのレセプターを1000〜2000程度持っており、これで何万もの臭いを嗅ぎ分けている。

廣瀬座長:レセプターが1000個あれば、再現は可能か。

鳥居構成員:レセプターの構成、組み合わせは線形でない。レセプターの感受性が異なっている。受容器の遺伝子がチップにのればセンシングはできる。原味・原臭という考え方は成り立たない。

廣瀬座長:メカニズムはわかっていないが、こういうことをやってみようというプロジェクトはありうるか。

鳥居構成員:人工の目の再現、人工の舌の再現などが考えられる。
澤野構成員:ペンシルベニア大学にある化学感覚研究所のような学際的な研究機関が日本にはない。
廣瀬座長:合成的な方法は嗅覚、味覚の分野では通用しないのか。限られた範囲での実現も考えられないか。すべてが解明されないと実現は無理なのか。
阿部構成員:センサーは作れるか否かは通信と関係ないのではないか。センサーにセンスするような通信があるかどうかが重要だ。
廣瀬座長:センサーがあってもディスプレイがなくてはならない。

阿部構成員:センサーはいくつかでてきている。ディスプレイはない。

廣瀬座長:味覚ディスプレイの可能性はあるか。
阿部構成員:他の感覚と相互作用することによって可能になるのではないか。

廣瀬座長:味覚ディスプレイそのものの実現は難しいのか。

鳥居構成員:視覚・聴覚は脳に直接刺激を与えることができる。味覚には、視覚のCCDカメラにあたるものがない。

西条構成員:視覚は受容器と刺激の関係が簡単にわかるが、味覚は複雑である。味覚の受容の仕組みは複雑でディスプレイの実現は困難である。

廣瀬座長:ある特定の感覚、たとえば味覚を別の感覚で合成するということは考えられる。すべての味覚・嗅覚を伝送するということは難しいが、領域を限定して部分的にはじめるということはできるのではないか。

平原構成員:科学的、工学的な視点ではなく、メディアを有効に使って情報を伝えたいという立場で何ができるかという視点での新たな意見がほしい。

小宮構成員:ビジネスと研究の間のスパイラルが重要である。高度なことを行う前に前提となる事柄をうまく世の中にプレゼンテーションしてスパイラルを作っていかなければいけない。

廣瀬座長:資料6−7に挙げられているものは全部シーズから出ているプロジェクトなので、ニーズの面からのプロジェクトが必要である。その中から大きく成長するものが出てくるかもしれない

小宮構成員:前回研究会で発表した五感ロボットのようなものから始めていくことが大事なのではないか

D後のスケジュールについて
・事務局より、資料6−8に基づき今後のスケジュールについて説明した。

その他
次回会合は6月29日(金)10:00より開催することとし、詳細については別途連絡することとした。